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【コラム】タイ和僑会によるタイ経済の成長と特徴に関して

欧州危機、アメリカ・リーマンショック、日本のデフレ・財政不安などを尻目に中国やインドの成長が
続いています。
また同じくその成長をエンジンとしつつ、東南アジアの各国も目覚しい発展を遂げつつあります。
東南アジア主要6カ国(シンガポール、マレーシア、インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナム)
の2010年の実質経済成長率は2009年の落ち込みから急回復し、各国+5.8%~14.3%と言う
驚異的な回復を遂げています。
また、経済協力開発機構(OECD)の予測では東南アジア各国のGDP成長率2011~15年平均では
+6.0%と堅調な伸びが続くと予測していて、今後も先進国よりも成長のスピードが速いとしています。
和僑会の皆様の多くが中国で御展開されていますが、
ここタイ(特にバンコク)でも、月単位で街の中が変化し続けています。今回はタイの経済概要を含めてタイの特徴を解説しています。

タイの概要
国・地域名 タイ王国 Kingdom of Thailand
面積 513,115平方キロメートル(日本の約1.4倍)
人口 6,544万人(2010年、タイ統計局)
首都 バンコク(クルンテープ)
人口    825万人(2010年12月、タイ統計局)
言語 タイ語 一部英語
宗教 人口の約95%が上座部仏教
実質GDP成長率 +7.8% [2010年] 
名目GDP総額 3188億USドル (31兆円) [2010年] 暫定値
一人あたりのGDP(名目) 4,992USドル[2010年] 
消費者物価指数 108.0 [2010年] 暫定値
失業率 1.04% [2010年]
主要輸出品目 コンピューター、自動車、IC製品、天然ゴム
主要輸入品目 原油、産業機械、化学品 
※データはタイ統計局、タイ政府発表の数字
一人当たりのGDPはほぼ5000USドルに近い数字でこの数字は
シンガポール、マレーシアに次ぐ数字です。また首都バンコクではすでに1万USドルを越えているデータもあります。
タイの経済成長とともに最近では中国、韓国、日本の企業以外にも
ロシア、インド、中東などの投資家、企業が続々とタイへ進出を開始しています。
● タイ経済における5つのキーワード ●
ここからは、タイと言う国はどんな国なのか?をテーマに5つのキーワードで解説していきます。
「ベトナムと同じなのでは?」
「マレーシアとは何が違うのか?」と言うご質問も時折いただきますが、
こちらでは特長を5つコンパクトにまとめました。
その1 【親日国家、日本ブランドが強い国】
タイは台湾に並ぶほどの親日度の強い国です。
古くからタイ王室と日本の皇室の交流、仏教を中心とする宗教・文化
多くの日本ブランド(家電、自動車、アニメ、ファッション、食品、外食産業)がタイで幅広く浸透しています。
多くのタイ人が日本を「尊敬、好感が持てる国」として嫌いな国、どうでも良い国と言うイメージではない
高い評価を得ています。
すでにタイへ進出している日系企業は7000社近くあり、
在留邦人4.7万人を越えています。
またこの親日性から、初めてタイへ訪れる人でも比較的過ごしやすく、ビジネスをしやすい環境が整っています。
王室を崇拝する文化であることも重要なファクターです。
毎年12月5日のプミポン国王のお誕生日にはタイ国内から5~6万人を越える大勢の国民が王宮広場前に
集まり、王様のお誕生日をお祝いします。
TV番組でも王室関連のニュースが毎日のように流れていますし、
王様の批判や侮辱は「不敬罪」と言うものが適応される国でもあります。
その2 【自動車生産大国】
タイは、自動車産業の振興を図るべく、様々な外資企業の誘致政策、税制優遇政策を導入した結果、
2010年度の自動車生産台数は
タイ工業連盟(FTI)自動車部会によると、2010年のタイの自動車生産台数は
前年比+64.6%増で、過去最高の164万5304台となりました。
このうち乗用車は+76.9%増の55万4387台、商用車では+59.0%増で106万6759台。
2010年度は前年比+64.6%増と言う大きな伸びを示しています。
販売部門では
日本の自動車メーカーで販売台数のシェア90%を誇ります。
トヨタ、いすゞ、ホンダ、日産などの自動車メーカーがすでにタイへ進出済み。
マツダとフォードの合弁企業、インドでマーケットシェア首位を走るスズキ自動車もタイでの生産を開始します。
最大8年におよぶ法人税無税の投資スキームや、自動車産業における裾野産業の広がりを受けて
タイ政府は2010年から2~3年後に現在の生産台数から+25%増の200万台に達し、世界の自動車生産台数ベスト10
に入ることが確実視されてると発表しています。

その3 【農業大国であるタイ】
農業大国であることも重要なキーワードです。
中国やインドの人口爆発により、今後食糧自給率の高い国が低い国へ輸出する流れが加速します。
タイは過去日本へコメ輸出をしたこともあり、東南アジアの国々の中でも高い自給率を誇る国で
コメの輸出部門では毎年世界1位の輸出量を誇ります。
国際連合食糧農業機関(FAO)がまとめた2007年のデータによると、
小麦やコメ、とうもろこしといった穀物の自給率(2007年)は
タイランド  166%
ラオス    122%
ベトナム   117% となっています。
穀物自給率は、100%を超えれば生産が消費を上回っていることを意味していて、
余剰分は輸出や備蓄にまわすことが可能です。
タイやベトナムは穀物生産量(2008年)がともに3000万トンを超える一大農業国に成長しています。
特にタイはこれまでの人手による人海戦術的農作業が、クボタ、ヤンマーなどの耕運機の導入も始まっています。
このインドシナ半島の上位3カ国の自給率は世界でもトップクラス、
比較可能な統計を持つ世界の177カ国のうち世界1位のアルゼンチンで306%の自給率の下に続くのは
タイ 7位
ラオス 19位
ベトナム 21位となっています。
その4 【医療大国であるタイ】
タイには毎年1500万人~1600万人の外国人観光客が訪れますが
そのうちの10%が「医療検査、治療目的」で訪問していると言うデータもあります。
一般のタイの中間層が利用する公的な医療制度は
まだまだな不十分な医療水準のタイなのですが、
一部高級私立医療施設のレベルは非常に高いことで知られています。
バンコク病院(Bangkok General Hospital)、
バムルンラード病院(Bumrungrad Hospital)などは在バンコクの日本人であれば ほとんどの方が知っている有名病院です。
ちなみにバンコク病院などの高級私立病院では、外国人患者一人にきちんと通訳の方が同伴。
担当医師に病状を説明してもらえ、さらに20カ国以上対応と言うことで、
日本語はもちろん、中国語、アラビア語、英語、フランス語、ドイツ語、
と世界中から来る外国人患者を誘致しています。
アメリカ、ヨーロッパの患者さんでは、
高い医療費と比べてタイでは観光も出来、医療サービスも安いことからタイで検査し、治療して帰国するケースも増加しているとの事。
病院内には和食レストラン、スターバックスやマクドナルドが入り、無線LANも飛んでいます。
※ちなみに医療の検査や治療目的で、「旅行」+「医療サービス」を受けに行くことを”メディカルツーリズム”と言います。
この”メディカルツーリズム”とは、「観光」と「医療サービス」をセットにしたパッケージツアーのことで、
5つ星一流ホテル並みの施設とサービスに加え、高度な医療技術も低価格で提供するものが一般的です。
これらの実情は、実際に目で見ないとなかなか伝わらないですし、
実感として分からないと思いますが、是非、観光ついでに一度はタイにある高級病院を「元気なうちに」
視察されることをお勧めします。
巨大な施設の中に、5つ星クラスの対応、コンシェルジュのようなサービスで対応してくれる医療機関が東南アジアのタイにはあるのです。

その5 【アセアンの中心として成長をし続ける地理的要因】
タイはインドシナ半島の中心に位置しており、このインドシナ半島は
タイを中心としてラオス、ミャンマー、カンボジアなどの国と隣接しています。これらの国に加えて
ベトナムもインドシナ半島にあり、
すでに陸路では「東西経済回廊」「南北経済回廊」などのインフラが次々と完成されています。
タイの国際空港スワンナプーム国際空港も
この地域のハブとして24時間運営されていて、真夜中の3時でも数多くの飛行機が世界中から到着しています。
また、日本で言われているTPP「環太平洋経済連携協定」よりも
いち早くアセアン各国は自由貿易協定の枠組みをスタートしており、
東南アジア諸国連合(ASEAN)の6カ国(タイ、インドネシア、フィリピン、マレーシア、シンガポール、ブルネイ)は
2010年1月1日より、7881品目に対する関税を追加撤廃しました。
全体の99%が関税撤廃されるとしています。
ASEAN域内だけではなく、
中国・ASEANのFTAも発効していて、人口規模では19億人となる巨大なアジアマーケットが誕生しています。
2002年、ASEAN加盟10カ国「タイ、シンガポール、インドネシア、マレーシア、
フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ラオス、カンボジア、ミャンマー」と中国とのFTAが調印されています。
同様にオーストラリア、NZとの経済連携も進んでいて、
オーストラリア、ニュージランドの自由貿易協定(FTA)が2010年1月3日、発効しています。
つまりアセアン域内では
「モノ」の関税自由化に始まり、「カネ・マネー」の動きも自由化へ最後に「ヒト」の労働許可緩和もスタートしていきます。
タイはそういう枠組みの中で地理的にも、マーケットの大きさからも優位な位置にいると言われています。
現に、タイ商工会議大学 University of tha Thai Chamber of Commerceの2011年5月の発表では
アセアン自由貿易協定の本格的発効によって
タイの貿易額は2009年の259億USドルから2010年度は 362億USドルで+39.5%の伸びであったと
伝えています。
【タイの税制】 
タイの法人税率は、一部の上場企業および中小企業等の軽減措置を除き、通常30%。
また、各国に支部を持つ、または持つ予定のある企業がタイに地域統括事務所(Regional Operating Headquarters)を
設置する場合は事業に係る所得に対し10%となっています。
またタイには「BOI : タイ投資委員会」と言う組織が設置されており、
奨励する対象業種に対して税制上優遇及び税制恩典などが付与されます。
これらは、いずれもタイの産業高度化、雇用促進に役立つ業種とされ、自動車関連産業、
ソフトウェア開発、高度技術を導入した製品製造などであれば、委員会において審議され認可が下りれば
進出するゾーンにより、法人税免税期間は、3年から8年が付与されます。
またタイ国内での個人所得の所得税率はその所得に応じて0~37%の累進課税。
その他に主な租税としては 付加価値税(VAT)と言うものがあり、
VATは、日本の消費税に相当し、タイ国内における物品の販売やサービスの提供および輸入に対して課税されます。
2011年5月時点で税率は7%となっています。
【タイのマイナス点】
一方でマイナス点もタイにはあります。
ご存知のようにタイでは毎年のように政治対立による大規模なデモ活動が繰り返されてきました。
  
2008年12月には タイ国内の国際空港を封鎖し、大きなニュースとなりました。
2009年4月には  パタヤ・アセアンサミットで会場に暴徒が侵入し、会合を中止させるまでに至りました。
そして
2010年3月~5月にはバンコクの商業中心地区で大集会を開きおよそ3ヶ月間にわたって
アピシット首相の退陣を要求し続けました。
日本や他の国からTV報道だけを見てしまうと「大変危険な国」との印象を持たれてしまうかもしれませんが
実際にはすでに7000社以上、49000名以上の日本人が住み、働いて、タイ経済とは切り離せないほどの
関係を構築しています。
経済成長も続いており、
是非一度はバンコクやその他の都市を訪れ、タイと言う国を見て、感じていただければ幸いです。
  
ご視察の際にはバンコク和僑会にもお立ち寄り下さいませ。
阿部俊之
タイ王国和僑会幹事 勉強会担当
アセアンジャパンコンサルティング株式会社代表取締役
会社のwebサイト:http://thaikabu.net
紹介ページ:http://bit.ly/j3K9sn
ブログ:http://toatoa.jugem.jp/