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WAOJEであったいい話 第2話「コロナ禍でタイに行けなくても札幌からリモートでバンコクにリユースショップを出店できた理由」《後篇》

コロナ禍でタイに行けなくても
札幌からリモートでバンコクに
リユースショップを出店できた理由
≪後篇≫

こんにちは、WAOJE.NET編集部です。今回から「WAOJEであったいい話」というテーマで、WAOJEの会員同士の交流で生まれた新たなビジネスや試みについてご紹介してきます。

第2回目は、札幌支部を立ち上げた札幌支部長の湊 源道さんと、バンコク支部の大嶋 俊矢さんにお集まりいただき、昨年末に湊さんがタイでオープンしたリユースショップ「モノココバンコク店」のお話を中心にインタビューさせていただきました。コロナ禍の影響で、湊さんはタイに行くことができない状況で、どうやって開店させ、その後も営業を続けてらっしゃるのか、たっぷり話していただきましたので、ぜひ最後までご覧ください。

WAOJE(WORLD ASSOCIATION OF OVERSEAS JAPANESE ENTREPRENEURS)は、海外を拠点に活躍する日本人起業家のネットワークです。

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<出席者 略歴>

出席者のプロフィール詳細はこちら

湊 源道
WAOJE札幌 支部長

21歳でECで学生起業。
その後アジア雑貨で8店舗店舗展開するが失敗し奈落の底に。
持ち前の反骨精神で単身便利屋として再起し不用品がほぼ処分場で全処分されている社会に直面し世界の不用品の改革をすることを生涯の使命とする。
東日本大震災大震災で全国でいち早く受入支援のスキームを構築北海道のリーダーとして活動。
タイ人の北海道のインバウンド等各方面で実績を残す。
リユース業界向けや高齢者向け、起業家向けなど様々な講演活動も行っている。

大嶋 俊矢
WAOJEバンコク理事

2013年4月 TEPPEN (THAILAND)CO.,LTD.創業。同年6月 1号店をバンコクのエカマイにオープン。
TEPPEN (THAILAND)CO.,LTD.として、現在直営5店舗、FC業務委託で3店舗運営。
monococo Bangkok役員として、2020年12月、バンコク郊外のラップラオ101に2,000平米の大型店舗オープン。

■札幌の街角で偶然の再会

WAOJE.NET編集部(以下、WAOJE湊さんと大島さんが出会ったのはWAOJEバンコクでの集まりだと伺いましたが、湊さんがバンコクに初めて行ったのはいつごろのことですか。

湊 源道さん(以下、湊)2013年ごろですね。WAOJEのGVF(グローバル・ベンチャー・フォーラム)が世界大会と呼ばれていたころで、ちょうどタイで開催される世界大会の準備に入ったときでした。そのときにバンコクの谷田貝さん、小田原さんに面会を受けて入会をして、すぐに世界大会の準備をしていたので、色々と言いたいことを言わせてもらっていたら物産担当になって。あのときすごい人数が来ましたよね。

大嶋 俊矢さん(以下、大嶋)そうでしたね。

みんなもすごく頑張って世界大会をやりきって、ゲストで来られた大前研一さんにもすごく褒めていただいてね。ちょうどそのときに大嶋さんに初めて会ったんですよ。その当時は、大嶋さんとは他のバンコクの会員さんと同じくらいのつき合いだったと思います。

その半年後くらいに、札幌の街を歩いていたら目の前から見たことがある人が歩いていて、それが大嶋さんだったんですよ。僕は普段あまり札幌の街中を歩かないのですが、ばったり出会ったんですね。

びっくりして「なんで札幌に来てるって言ってくれなかったの、冷たいじゃないですか」って言ったら、大嶋さんが「いや、アイスクリームを食べなくちゃいけないから札幌に来たんだ」みたいなことを話していて(笑)

それで、その日の自分のスケジュールを全部キャンセルして「今から一緒に行動しましょう!」と言って2人で色々なところに行ったんです。まずはコーヒー屋さんから始まって。サッポロ珈琲館というところに行って、コーヒーを飲んでね。

大嶋いや~、すごく覚えてるわ~。

で、最終的にミルク村ってところに行ったんですけど。そこがアイスクリームに濃いテキーラなどのリキュールをぶっかけるお店で。

大嶋そうそう。アイスクリームとお酒を合わせるお店だったんですよ。しかもメニューがリキュールの数だけ相当な数あるようなお店でね。そのお店の雰囲気が、ちょっとファンシーな感じだったと思うんです。一見スイーツ店のような感じでね。そこにおっさん2人で熱い話をしていたんです(笑)

たとえるなら同級生同士が街で偶然再会して、結婚するようなパターンですよね(笑)

大嶋それは男女の場合ですよ(笑)

WAOJEそれくらい運命的な出会いだったということですね(笑)

そうですね。それから大嶋さんとの距離がすごく縮まりました。

WAOJE大嶋さんは、そのミルク村に一人で行こうとしていたんですか?

大嶋正直、何をしに北海道に行ったのかあんまり覚えていないんです(笑)

でも、北海道の人とは縁があって、いずみホールディングスの泉さんという社長さんがいらっしゃるんですが、その方が海産物とか生鮮の卸しをやられている方で、その人とタイに魚介類を送るという話をしに行っていたということがひとつはあったんですね。あとは、結構北海道にいらっしゃる社長さんが知り合いに多くて、その方々に会いに行こうと考えていたんだと思います。

湊さんに偶然出会ったその通りは、そのとき初めて歩いていたんですけど、角を曲がったら湊さんがいてね。湊さんにいきなり「冷たい」って怒られました(笑)

WAOJEもし札幌の通りで出会っていなかったら、今回のように一緒にビジネスをすることはなかったかもしれないということですか?

大嶋どうでしょうかね…。あったんじゃないかな…。あった気がします。まあ、どこかの通りの角で会ってたんじゃないかなと思います(笑)

WAOJE必ずどこかの通りの角で会うという、そういう運命なんですね(笑)。その札幌での偶然の出会いがあり、そのあとはどうだったのですか?

大嶋居酒屋「てっぺん」の新規出店のときに、内装に使う材料を湊さんにお願いしたりしてましたね。欄間(らんま)を送ってもらったりしていました。その欄間を居酒屋てっぺんの壁に貼っていったり、照明の一部にしたりとか、僕らのお店で使ってたんですよね。

大嶋さんに売った欄間は半額にしたので、「らんま1/2」ですね(笑)

WAOJE世代的にわかります(笑)

大嶋半額どころか1/10くらいで売ってもらったと思いますよ。

ここは、ネタ的に「らんま1/2」ってことにしておいた方がいいよね(笑)。あとは僕がバンコクに行くたびに一緒に飲んだりしてました。

WAOJE交流が深まっていって、お互いに人となりがわかってきたという時間があったわけですね。

そうですね。最近は大嶋さんとオンラインで飲んだりしています。札幌の友だちも含めて飲んだり、大阪の友だちも一緒に飲んだりとかしてますね。

大嶋札幌で偶然会った時に9割5分くらいは交流が深まっていた感じです。やっぱりあの日の出会いが大きかったなと思います。ジンギスカン料理以降のことはあまり覚えてないんですがね(笑)

■頭の中にたくさんの「フック」をかけておく

WAOJE今のコロナの影響もあって、ポジティブになれない人が多いじゃないですか。会う人会う人、ため息ついてる感じですが、そんな中でなぜお二人はそんなにポジティブでいられるのかなという素朴な疑問がわいてきました。

大嶋さんなんか、コロナ禍でお店が営業できなくて大変になったら、今度は田舎までトラックで行ってキャベツを何トンも仕入れて来てますからね。朝3時に起きて。

大嶋八百屋ね。

キャベツ太郎…(笑)

大嶋キャベツ太郎はね、2回ぐらい死にましたね(笑)

先ほどの質問ですが、単純に考え方次第だと思いますよ。周りにWAOJEのように現状を共有できる人がいるのって大事なポイントだと思います。なかなか一人だったらポジティブになれないと思うんです。別に愚痴を言うわけではなく、しゃべる相手がいたらそれだけでポジティブになれるし、目の前にいる人を笑わせた方が楽しいじゃないですか。

目の前の人を笑顔にするのは、元々の僕の性格もあったと思うし、居酒屋・飲食店の基本だと思うし。Zoomであろうがオンラインでもその気持ちは変わらないです。そういう意識で、アイデアとかも出てくるのかなと思うんですよね。

WAOJE私の勝手なイメージだと、大嶋さんは周りの人から見ると突然何か新しいことを始めたように見えるかもしれないけれど、実は色々なことを考えてらっしゃいますよね。ずーっと考えて考えて、何かのきっかけで(ものごとを)始めるという感じだと思うんです。

大嶋そうですね。歩きながらメモはよくしてるんですよ。メモといってもスマホに音声で残してる感じですが。あとは、頭の中に「フック」をいっぱいかけている状態があって、人とまったく違う話をしたときとか、まったく違うものを見たときにフックとフックが絡みあって新しいアイデアが出てくるみたいな感じですね。だから、なるべくたくさんのフックを持っていたほうが組み合わせも増えるので、たくさんの人から様々な話を聞くのはフックが増えるいい機会なんですよね。そういうことを割と意識して人づきあいをしているのかなって思います。

大嶋さんはそのあたりが突出していますが、WAOJEにいる起業家でネガティブな人はいないんじゃないですかね。ポジティブだから海外で起業できてWAOJEにも入ろうって気になるんだと思うんです。

WAOJE確かに、WAOJEにいる人たちって明るいですよね。

明るいですし、助け合いの精神がすごいですよね。自分も行動しているから、行動を起こしている人に対して協力しようという気持ちが強いのだと思います。

WAOJEバンコク支部のみなさんは特にすごいですよ。会員同士のやりとりも濃密です。私もバンコク支部を離れたくなかったんですが、札幌支部を立ち上げることになったのでね。

WAOJEこれから札幌支部も盛り上がっていきそうだから、すごく楽しみですね。

盛り上げていきますよ! メンバーも「白い恋人」の石屋製菓の社長だったり、札幌ドラッグストアの社長も入ってくれたりしていますので。

■これから海外で起業を考えている方へ

WAOJE最後に、これから海外で起業しようと考えてらっしゃる方へメッセージをお願いします。

大嶋起業してこれから海外に進出したい若い方が読んでくれていると想定してお話しますが、先輩っていうのは「近い歴史を学べる存在」だと思うんです。遠い歴史は歴史の本で学ぶ必要がありますが、近い歴史を先輩から学ぶのだったら、WAOJEの人たちは成功も失敗もたくさん経験しています。その話を直接聞けて、アドバイスをもらうことで失敗の確率を下げることができます。

もちろんトライをすることはとても大事だし、トライすべきですが、失敗する確率を下げるためにも近い先輩の話を気軽に聞ける環境にいるというのはすごくいいことだと思います。WAOJEのメンバーはさまざまな職業の人がいて組み合わせは多様なので、おもしろい組み合わせが必ず見つかると思います。

「起業した人生」と「起業しない人生」、人生をやり直すならどちらかと問われたとすると、自分自身は絶対「起業した人生」を選びます。その理由は起業をして何かに挑戦することによって、同じように起業している仲間たちと本音で話すことができ、圧倒的に多くの情報や知識、愛情が集まってくると思うからです。

「鳥の目」と「虫の目」という言葉がありますが、鳥は高い視座から物事を見ているので、少し先に危機が迫っていることもわかります。一方で、虫は「この草は苦いなとか、こっちの草は美味しい」という細かなことを深く知っていますが、鳥のように少し先を見ることができない。どちらも大事なので、起業家になるためには鳥の目と虫の目の両方を身につける必要があると思っています。

この両方の目を身につけるためには、起業家を含めて多くの人に出会い、多くの情報を集め、自分の頭で考えて実行することが大事なんじゃないかなと。

グローバルな社会の中で「鳥の目」と「虫の目」を身につけて自分で挑戦し、やさしい気持ち、ずるくない気持ち、先義後利の気持ちがあると、どんどん仲間が増えて世界が広がっていきます。そういう部分でも自分は起業することをおすすめします。

もちろん大変なこともあるけれど、仲間がいればなんとかなったりしますので。そういう部分では起業して海外で挑戦したいと考えるのであれば、WAOJEに入るのは自分自身の成長につながると考えているのでいいことですね。

■編集後記

インタビューはいかがでしたでしょうか。ポジティブ・メンの湊さんと大嶋さんにお話を伺いましたが、インタビュー中もサービス精神満点で、終始笑いの絶えない楽しいインタビューになりました。

よく、経営者は孤独だと言われます。確かに、最終の意思決定は一人でしなくてはならず、決定を下した最終責任を負うのも経営者です。しかし、だからこそ同じような志をもった仲間がいることが大切であり、その仲間と話をすることでどんな状況下でもポジティブになれるのだなとお二人のお話を伺って改めて感じました。

仲間がいればなんとかなる! コロナ禍の大変なときだからこそ、私たち起業家は前を向いてポジティブに進んでいきましょう。

第2話 完

プロフィール

湊 源道 Gendo Minato

株式会社ルーツ・オブ・ジャパン 代表取締役
WAOJE札幌支部 支部長
札幌観光大使

21歳でECで学生起業。
その後アジア雑貨で8店舗店舗展開するが失敗し奈落の底に。
持ち前の反骨精神で単身便利屋として再起し不用品がほぼ処分場で全処分されている社会に直面し世界の不用品の改革をすることを生涯の使命とする。
東日本大震災大震災で全国でいち早く受入支援のスキームを構築北海道のリーダーとして活動。
タイ人の北海道のインバウンド等各方面で実績を残す。
リユース業界向けや高齢者向け、起業家向けなど様々な講演活動も行っている。

大嶋 俊矢 Shunya Oshima

WAOJEバンコク所属。
1975年6月24日生まれ
三重県桑名市出身
WAOJEバンコク理事

2013年4月 TEPPEN (THAILAND)CO.,LTD.創業。
同年6月 1号店をバンコクのエカマイにオープン。
TEPPEN (THAILAND)CO.,LTD.として、現在直営5店舗、FC業務委託で3店舗運営。

monococo Bangkok役員
2020年12月、バンコク郊外のラップラオ101に2,000平米の大型店舗オープン。

企画・取材・原稿執筆:WAOJE広報委員会

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